自動車運転と視機能
自動車衝突の50%は視力・両眼視機能不良に関係が
社会生活において、運転は最も複雑な動的活動の1つです。
ほとんどが素早く継続的な統合的活動であり、脳の働きによる認識、眼の働きによる知覚、そして、腕と脚の運動の3つの能力が継続的統合的に作用しています。
自動車運転による悲しい事故は毎日のように繰り返されており、特に社会的問題になりつつある高齢者の自動車事故は後を絶ちません。
この、高齢運転者においては、他の年齢層よりも運転状況下での認識、判断、意志決定、反応において多くのエラーが出てきます。
高齢運転者は自身の衰えている能力に気付いている場合も多く、出来る限り少ない走行距離を運転する習慣に調整していきます。
これは、高齢の運転者は自身の運転能力を把握しているからで、極力短い距離を必要に応じてのみ運転するようになっていきます。
また、統計的に、他の年齢グループよりスピードを出す可能性は低いことから、衝突の危険性をもたらす行動を減らします。
たとえば大音量のラジオ、運転中の会話、携帯電話の使用などです。高齢者は運転中に自身でコントロールできることに注意します。
このように、衝突の危険性をもたらす行動制限は行っているにもかかわらず、運転者の多くは視力以外の「両眼視機能」を運転において考慮しません。
そのかわりに、路上で自身をより安全にすべきとき、他の要素をコントロールしようとします。
夜間の運転は必要にかられない限りは運転を控え、雨や霧の中での運転も控えてコントロールしようとします。
しかし、自動車運転において安全であるために何をする必要があるかを考えるとき、多くは自身の眼や掛けているメガネ、そして両眼視機能については考えていません。
これらのことを避けても「良く見えないから運転しません」とは言いません。
全ての自動車衝突の50%は視力・両眼視機能不良に関係があるにも関わらずです。